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食事時の姿勢と動作

 食事時の姿勢は、その人その人でちがいますね。高齢者の場合、身体の大きさもそうですし、麻痺や拘縮などがあれば、座位や動作がかわってきます。必ずしも(離床=車椅子での食事)とはいえません。その方(利用者)に合わせた姿勢と動作を考えることが大切です。 


 食事時の姿勢を考える

 通常、健常の場合は摂食時に無意識のうちに、90度座位・頸部前屈位の姿勢をとっていると思います。90度座位・頸部前屈の姿勢は誤嚥しにくい体位です。90度座位にする理由は,食塊を積極的に嚥下しなければ口の中にとどまっていて,不意に咽頭に落ちることがなく、また嚥下できないときは重力のため口外に落ちるという2つの長所があります。頸部前屈位は、食塊の通路が広がり、咽頭と気管の通路が通りにくくなり誤嚥の防止につながる効果があります。

 ちなみに、意外に思われる方もいると思いますが、解剖学上で、気道に食物が入りにくい姿勢は、30度リクライニング(仰臥位・頭部前屈)の姿勢といわれ、特に嚥下訓練開始時には、この30度リクライニング(仰臥位・頭部前屈)が良いと言われています。




 30度リクライニング(仰臥位・頭部前屈)姿勢の利点

 30度リクライニング(仰臥位・頭部前屈)姿勢の利点は大きく3つあると言われています。

@口腔機能低下時は口腔内保持が悪いため90度座位ではほとんど食塊を送り込めない。
A咽頭期に障害がある場合は嚥下反射が遅延により90度座位では嚥下反射前の誤嚥が起こりやすい。
Bさらに、90度座位では顔が下を向いてしまうことが多いため、食事介助が不可能なことが多い。


 これらが重要なポインとです。そして、解剖学的に30度仰臥位では気管が食道の上になり重力の関係で気管に入りにくく、食物を口唇から舌根部、舌根部から咽頭へ送り込むのに重力を利用でき、かつ口からこぼれ出る量も少なくなるとしています。(ただ、30度仰臥位では頸部が前屈でなく伸展位になりやすいため注意する必要です)


介護施設で食事介助が必要な方に対して、ただ介助を行うのではなく、どんな状態であっても、その方のペースを第一に考えて、その方に合わせた介助方法を行うことが大切なことだと思います。やっぱり、その方のペースで行なうということが、一番安全なんですよね(^^) 上記の表は、食事介助を行うときの、参考になるのではないかと思います。


 ちなみに片側の口腔及び咽頭(のど)に感覚や運動の低下が見られる場合は機能の良い側へ身体全体を傾けることが有効といわれています。(健側を下に半側臥位の姿勢)




食事介助時の注意点

頚部後屈は危険!
 座位をとり、顎を挙げた状態(上に向いて)で、水を飲もうとすると、とっても苦しいです(><) これは気道が開きやすい状態になり、食物も気道に入りやすい状態です。食事時に頚部は屈曲(あごをひくこと)しましょう


麻痺側を下側にする30度リクライニングは危険!
 この姿勢では、食物が食道に入りにくく、嚥下反射「むせ」も起きにくいといわれます。麻痺のある方の食事介助を行うときは、注意が必要です(*_*) 逆に健側を下にすると、飲み込みやすい状態になります。



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